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行き場所を見失っていたあたしに与えられたのは、昔なじみとの再会と中学当時の先輩からの思わぬアプローチだった。
人恋しかったんだろう。
心のどこかで落ち着き先を探してたあたしは求められるまま付き合って。
特に思い入れも感じられてもいないのに安易に結婚まで承諾してしまった。
居場所に餓えてたんだろうなと、旦那と別れてから思い至った。
中々子宝に恵まれなくて、それとなく孫の話しをする旦那の親の表情に急き立てられるように病院にも通った。
「奥さんの側には問題は見当たりませんね……」
医師の語るその言葉は、客観的に見ればあたしに免罪符を与える物だったのかもしれないが。
当事者のあたしには死刑の宣告も同然だった。
(この事を旦那が、ううんそれ以上に御両親が知ったら……)
そしてあたしは逃げ出した。
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