ハローサーティーン

「買い物かごと見知らぬ男」

「どうしてイジワルするの？」

開けたまぶたに朝陽が熱い。
今見たばかりの夢を思い出そうとするが思い出せない。
冬用の熱いカーテンを外して、これから訪れる新しい夏に向けた薄手のカーテンの合わせの隙間から差し込む光があたしの夢の邪魔をしたのか……。
微かに眠い目を擦り、重い布団を押しのける。

寝巻代わりのトレーナーの首元に鼻を寄せて匂いを嗅ぐ。
（こんな事してちゃダメなんだよね）
結婚してた頃はちゃんとネグリジェを着て、寝床に入る前は三面鏡の前でブラッシングしていた。
（あの三面鏡……新しい奥さんが使ってるのかな……）
別に聞きたくも無かったが。
別れてもどこにも行く充ても無かったあたしは、彼が数年後新しい妻を迎え入れた事を伝え聞いていた。
地元じゃ名士の家庭だし……。ご両親だってバツイチの息子そのままにはしておかないよね。