それでもお兄ちゃん

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   寝る時間になって櫂は自分の部屋に戻ったけど、私は何か落ち着かなくなった。枕を持って櫂の部屋に行く。  枕付きの私を見て、櫂が黙って布団の半分を空けてくれた。そこに喜んで潜り込む。定位置は櫂に背中を向け、後ろからぎゅっと抱き締めてもらえるこの場所だ。  あ…でも櫂、まだ腕が痛いかも。思わず向きを入れ替えた。普通に上を向く。 「洸?」  櫂が変な顔をしている。顔だけを櫂に向けてちょっと擦り寄った。 「ちゃんと来ていいよ」 「大丈夫」  今日は本当に大丈夫、でも櫂と手を繋いで眠りたい。手探りでその手を取る。 「おやすみなさい櫂」 「おやすみ」  その夜も櫂の側でゆっくり眠る事が出来た。  朝起きると結局、櫂に抱きついて寝てたけどね。本当に我ながら困ったちゃんだ。  
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