そばにいるよ

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 学校では、私と櫂は1組と2組に分かれていた。  小さい学校だから体育と美術、技術と家庭科が合同で、その時は櫂に会える。それが嬉しい。  今日は美術。小学校からの友達、隆成と優希も櫂と一緒のクラスで私を見て手を振ってくれる。 「今日は4人一組で校庭で写生だ。はい、グループに分かれて。クラスは気にしなくていいよ」  先生の声でみんながわらわらと散る。私は櫂達を探した。  いた、みんな一緒だ。  あ…でも、なんかもう4人になってる。私の知らない女の子がいる。 「沖田、あぶれた?」  クラスメイトの泉という男の子が声を掛けて来た。私、この子がちょっと苦手なんだよね、何かと言うと絡んでくる。 「う、うん。まだ」 「俺らのグループ来たら?空いてるよ」  でも… 「他はもうグループになってんじゃん、こっち来いよ」 「あっ!」  手首を掴まれて引っ張られた。つい転びそうになった所をいつの間にか側にいた櫂が抱きとめてくれる。 「櫂…くん」 「おいお前」  櫂が泉を睨みつける。 「気安く洸に触るな」 「洸?」  泉は櫂よりも10cm以上身長が高い。まるでバカにするかのように上から見下ろしている。 「名前を呼び捨てとか、なんだよ、沖田はお前の女かよ」  女って…女は女だよ。当たり前じゃない、あんただって男でしょうが。 「妹だ、気安く触るな」 「はぁ?」 「洸は俺の妹だ!!」  ”ドンッ!”  櫂が体当たりをした。もろに泉が尻もちをついて吹っ飛ぶ。 「この野郎っ!!」  立ち上がった泉と櫂がケンカになった。背丈で負ける櫂なのに、殴り合いでは全然泉に負けていない。何発目かのパンチで泉を地面に倒し、馬乗りになり更に殴る。泉は既に戦意喪失で両手で顔を覆っていた。 「お前らなにやってんだーーー!!」  先生が飛んできて二人を引き離した。泉がすかさず逃げていく。 「あ〜あ、やっちまった」 「隆成」 「洸に気安く触るからだ、バカが」  先生が櫂を連れて教室を出ていく、私はそれを追いかけた。隆成と優希も一緒に来てくれる。 「先生、お兄ちゃんは悪くないです!」 「沖田?」 「お前は黙ってろ」  櫂に睨まれた。でも… 「先生、泉のヤツは沖田を転ばせようとしたんです。それに怒った出雲とケンカになったんです」  隆成が助け船だ、優希も強く頷く。 「お兄ちゃん?お前ら兄妹だっけ?とりあえずみんな職員室に来い。あと誰か泉を探して来て」  4人まとめて職員室、見事なとばっちりだがかえって良かった。私を心配した優希が手を繋いでくれた。相変わらず優しい。 「大丈夫だよ洸ちゃん」 「うん…」  なんでいきなりこんな事になっちゃうんだろう。  本当にお兄ちゃんたら…
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