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プロローグ
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木枯らしが僕の身体を突き抜けて通り抜けていく。
〝お前はここに居るのか?本当に?〟
まるで問われてるかのようにも感じる。
いやいや、そんな問うという事もせず僕という人物(モノ)に気づきすらしなかったのかもしれない。
「あぁ、寒い寒い、今日も寒い」
まだ夕方の5時半だと言うのに月が見える。
ぼうっと薄がかった埃色の空。
暗くなるのが早くなった事がひしひしと僕に冬だと感じさせる。
「ーーもう星が見えてる」
真上に光る七つの光。
オリオン座を見上げて白い息を吐いた。
こんな寒い日は君と出逢った頃を想い出す。
「ーー君もオリオン座が好きだったね。木枯らしでもいい。僕の隣に来てくれよ」
君を奪った嫌いな冬。
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