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バドミントン部見学
寝坊したせいで、始業ギリギリに教室に駆け込んだ。
チャイムはとっくになっていたけど、まだ先生は来ていない。
先生も遅刻みたいだ。
「おはよう、島くん」
スミレさんに声をかけられ、俺はぎくしゃくと椅子に座った。
隣の席っていうのは、意外に顔があんまり見られない。
っていうか、好きとか思うと……変に意識しちまうんだよな。
コータなんか、チャラくて軽くて懐っこいから、隣の席の女子ともう打ち解けて、楽しそうに笑っている。
うらやましいことだ……。
「壱ちゃん。今日は髪、巻いてないの?」
そのコータが振り向いて、俺の髪の毛を指ですくった。
「うるせーなあ」
コータをにらんで頭を振ると、スミレさんが不思議そうに
「島くん、髪の毛巻いたりするの?」と聞いてくる。
うう。変に思われた。
コータは余裕の笑みで答える。
「んー。
お休みの日にはね。壱ちゃん、ヘアアイロンで、クルーンとカールさせてんすよ。王子様みたいにね」
「なあに、それ」
「カボチャパンツもはいちゃうしねん」
スミレさんが、口元に手をやってクスクス笑った。
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