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放課後になって、コータが、パシンと顔の前で手を合わせた。
「ごめんね。実は俺、新聞部に入ることになっちゃって!
バドはふたりで見学行ってね」
「ちょっ、コータ……!」
「マジごめんねえ~……ねえ~……ねえ~……」
セルフでエコーを響かせながら、コータは、タタッと教室を出て行った。
はじめからこのつもりだったのだろうか。
てか新聞部ってなんだよ。
「どうする? ふたりで行く?」
スミレさんがじっ……と俺を上目遣いで見た。
やめてくれ、その表情。無理。ふたりきりとか無理……。
俺が困り果てていると、ちょうど廊下をテッテケ歩く、チビッコが目に入った。おお。天の助け。
「ルリッ!」
俺は教室を出て、ルリをつかまえた。
「壱じゃん。なんの用?」
「ルリ、お前バドミントン部入りたいとか言ってたよなあ?」
「ふわ? 言ってませんけど?」
「今から、見学行かねえっ? 三人で!」
俺はルリの肩をガシッとつかんだ。
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