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お調子者のコータは、なんかオモロイこと言ったらしくて、教室中が笑いで湧いた。
その次が俺の番だ。
俺は席を立ち、ゆっくり自分の名前を発音した。
「しま……たいちです。よろしくお願いします」
よし。OK!
「おう。それだけかあ。趣味とか好きなものとかあるか?」
担任が聞いてくる。好きなもの?
「好きなものは……苔です」
「コケッ……?
苔って、そこら辺にある、なんかジメジメした、あの苔かあ? 変わってんなあ」
担任がでかい口を開けて笑って、教室にくすくす笑いがさざめいた。
うー。シマッタ。
俺は、ドスンと椅子に座った。
なに、正直に言ってんだ。
もっと適当に、サッカー観戦とか言えばよかったんだ。
つうか苔は……別にジメジメしてねえし。半日陰の風通しのいい場所が好きなんだし。
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