39人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
好きって言いたい
コータのガッツに勇気をもらい、俺もルリに、自分の気持ちを伝えることにした。
俺がルリに、キスしたかったのは、ルリを好きになったからってこと……。
ちょっとくらい、気まずくなったとしても、何だっつーんだ。
つうかこれ以上、気まずくなりようがない気もする。
そうだ。
たとえ一回や二回、振られたとしても……いや、やっぱ振られるのはキツイな。
あんまり考えないようにしよ。
はあー……。
古典の授業中、俺は教科書の影に隠れてため息をついた。
『どうしたの、たいちくん』
スミレさんが、ノートの端っこに、まるまっちい文字で書いて来た。
『ちゃんと授業きいとかないと、また赤点だぞ?』
いや、君もね……。
そういえば、スミレさんは前、「夜景の見えるレストランで花束もらって告白されたい」とか言ってたっけ……。
ふと思い出して、俺はノートに文字をつらねた。
『告白されるなら、やっぱレストランじゃないとだめ?』
スミレさんは、ボブを揺らして小首をかしげた。
いたずらっぽい目で俺を見つめ、サラサラとシャープペンを走らせる。
『本当は、どこでもいいよ! いよいよコータ君にこくはくするの?』
俺は思わず突っ込んだ。
『んなわけねーだろ、この腐女子!』
最初のコメントを投稿しよう!