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駅のホームでルリを見つけた。
コータは新聞部の(なぞの)活動があるとかでいなくて、俺はひとりだった。
ルリの周りには、三人の女子が取り巻いていて、なんだかぺちゃくちゃ喋っている。
くっそう。女子が邪魔だ。
よく見れば、ホーム一帯が、夏服の高校生たちで埋め尽くされている。
こんなところで告白したら、目立ってしまう。
今は……無理か。
名残惜しくルリを見ていたら、ルリが視線をこっちに向けた。
目があうと、思いっきりそらされた。
思ったよりショックだった。
ハラに穴が開いて、すうっと風が通り抜けるみたいな感じ。
でも負けねえ。
俺はギリッとくちびるを噛み、近寄って「ルリッ」と呼んだ。
ルリがびくっと、小動物みたいな目を向ける。
「あとで俺んち来いよ」
そう言ったら、取り巻きの女子たち三人が、きゃーっと声をあげてルリの肩を小突いた。
ああ。
なんか、面倒くせええええ。
俺とルリ以外、みんな邪魔。
言いたいこと言いたいだけなのに、なんでこんな。
そんな超絶自分勝手な思考に囚われつつ、やってきた電車に乗り込んだ。
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