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なまぬるい風が吹いて、電車が滑りこんできた。
あっというまに、モスグリーンの群れで、車両の中が埋め尽くされる。
ガタンゴトンと電車が動き出して、俺は車窓から外を眺めた。
大型のホームセンター、ミニチュアみたいな教習所。
なんてことのない風景だ。
だけど、今日からはもう、高校生だから!
今までの俺とは、ちょっと違うはずだ。
スミレさんと、帰りはふたりでデートしたり……。
こういう電車で、壁ドンしたり? って、しねえか普通。
俺はつり革につかまって、ユラユラと揺られながら、ひとりで顔を赤らめていた。
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