夜の公園で

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柵に乗せたルリの小さな手に、俺は、自分の手を重ねた。 ルリは、黒目を迷うように泳がせて、うわずった声を出した。 「へ、変だよ。壱」 「変って何が」 「あたしに、こんなことするの。だって、壱が好きなのは……」 「ルリだ」 ルリが、「エッ」と目を見張って、迷うように小さく言った。 「だって、あの子は……?」 本当は、分かってんじゃないのかと思う。俺の気持ち。 分かってないとしたら、ものすごい鈍感だ。 「ルリが好きだ」 ちゃんとまっすぐに、伝わるように。 その黒い目を、じっと見つめた。 トクトクと、胸の鼓動がはやくなる。 きっとルリにも、聞こえてるかも。 「い、壱、あたし……」 「ん?」 「あた、あた、あたし……」 「何だよ?」 「本当にあたしでいいの?」 「俺はルリが好きで、ルリじゃないとダメなんだけど」 何回言わせるんだよ、と言うと、ルリは「うわあ、恥ずかしい」とつぶやいて、口もとを手で覆った。 あ、――笑った。 そう思ったとたん、ギュウッとしがみついてきた。 嬉しいみたいな恥ずかしいみたいな、甘ったるいくすぐったさが、さざ波みたいに、胸に広がって満ちてくる。
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