夜の公園で

4/4

39人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
後ろに手につき、しりもちをついた体勢で、俺たちは、パチクリと目を合わせた。 一瞬何が起きたのか、分からなかったが。 木の柵がぶっ倒れて、俺とルリは、仲良く池にダイブしてしまったらしい……。 「ぷっ。あはは。あはははは」 ルリが吹き出して、ハラをかかえて、笑いだした。 俺にもその笑いがうつってしまう。 「池が浅くてよかったなあ」 「ウン。夏でよかったよ」 ああ。そうだ。 夏でよかった。 すぐに夏休みもやってくる。 髪からポタポタと水滴を垂らしながら、ルリは、すばやく俺のくちびるを奪った。 な――。今のって。 口を押えてルリを見つめると、ルリはいたずらをたくらむような目でほほえんだ。 「えへへ。壱、大好きだよ」 う。ああ、顔が熱い。 頭上では、下弦の月が冴え冴えと、俺たちのことを照らしている。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加