エピローグ

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エピローグ

「初々しいカップル誕生。 1年B組、島太壱くんと、1年A組、高地瑠璃さん。 ふたりは幼稚園の頃からの、幼なじみだそうですよ。 では、さっそく島くんにお話を聞いてみましょう。 おめでとうございます! 島くんは、高地さんに、なんっつってコクったんですか」 「ふっざけんなよ、コータ……!」 インタビュアーよろしく、マイクの形にしたコータの手を、俺はぐぐっと押しのけた。 「あはっ。照れちゃってえ」 「照れてねーよ」 「うそおーん」 「まあ、照れてないこともないけど」 うつむいたら、コータが笑った。 「よかったね。 俺も校内新聞に、あることないこと書かなくっちゃあ。 あ、そうだ、壱ちゃん」 コータは、手のひらをぽんと打って言った。 「次のステップに進んだら、教えてよね」 なな、なんだよ次のステップって。 間抜けな音でチャイムが鳴って、担任のおっさんが教室のドアを開けて入ってくる。 右隣からひじを突かれて、俺は「んあー?」と目をやった。 スミレさんが笑みをこぼして、ノートの端にシャープペンを走らせる。 『たいちくん。次のステップ、わたしも知りたい』 ああ、もう。 聞かれたじゃねえか、コータの馬鹿。 澄まして前を向いたコータの、白い夏服のシャツの裾を、俺は思いっきり引っ張った。 (おしまい) ご愛読ありがとうございました! 次のページはあとがきです。
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