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1.不思議な人
私は地元の都立高校に通っていて、ちょうどその時期は文化祭も体育祭も終わっていた。行事が終わり、私は本格的に受験に取り組まないといけない時期になっていた。
私はいつも通り電車に少し乗って学校に着き、友達と他愛のない話をしながら、一人の男子をちらりと見ていた。それが私の好きな人で、田中樹という名前である。スポーツができるかっこいい人で、私は高二から片想いしている。あまり話せたことはないし、高一の時にちょっと委員会で一緒になって話したことがあるくらいだけど...
その時には、高一の最初の時期だったのもあって、特に行為の感情があるわけでは無かった。いつから変わっていったのかと問われると、それがいつかも分からない。ただ、気が付けば目が追ってしまう、そんな存在になっていた。それがきっと、恋というものなのかな。
田中くんのことが好きなのは、私が今話している友達は知っている。夏休みにみんなで出かけた時に相談したからだ。片想いの相談なんてそれまでしたことが無かったから、少し勇気が必要だったけど、話してみると友達も誰かに片想いしていたりして、悩んでいるのが自分だけじゃなくて、そして話を聴いてもらえたのが嬉しかったから話してよかったと思う。
文化祭前や文化祭中に、校内では少しカップルが増えたみたいで、私も頑張らないとなーと思いながらも、好きな人に積極的に動けるような度胸が私には無かった。恋だけじゃなくて、これからは進路のことも考えないといけない。高二になる前に、文理選択で私は文系を選んだけど、それは、数学は得意だけど、生物とか物理が嫌いだから、理系は向いていないと思って決めたことだ。まあ国語は一番得意だし、好きだけど、文系に進んで将来何がしたいとか、どこの学部に行きたいとか、そういうものが何も明確に決まっていない。
世の中のみんなは、どうやって進路を決めるんだろう?何か目標があって?それとも大学の知名度で?
何を指針にして決めるのなんて千差万別で、私は指針というものさえ見つからない。その頃の私は、恋も進路も不明確で悩み続けて、とても手いっぱいだったような気がする。
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