1.あの日の熱が残る身体

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「……あぁ――っ」 西園寺さんしか知らない場所に、硬く熱を帯びたものがゆっくりと入って来る。 もっと、もっとと、その熱を感じたくていやらしく引き入れようとするのが分かる。 びくびくと身体が痺れて身体全部が悦んで。悲鳴のような声を上げた。 「あずさ――痛く、ないか……?」 張り詰めて埋めつくしているというのに、その眉を切なげに歪めながら私を気遣う。 「大丈夫、です。きもち、いい……気持ちよくてたまらない」 気持ちよさと嬉しさと幸せと。 訳が分からなくなるほどに、私の感情を昂ぶらせる。 気持ちよくて幸せなのに、涙が溢れる。 焦がれて焦がれて、苦しい夜を何度も超えて来た。 どれだけ寂しくても、触れることも見つめることも出来なかった。 その人が、誰より一番近くにいる――。 「俺もだ。幸せ過ぎて、どうにかなりそうだ」 シーツの上の手のひらを、西園寺さんがぎゅっと握りしめてくれる。 「……泣いてるの?」 色気を放出したしかめた表情なのに、その目から透明なしずくが落ちて来た。 思わず手を西園寺さんの顔に伸ばすと、その手を取られ唇へと引き寄せられた。 「今日の俺は、ダメだな。涙ばかり、零れて来る」 「西園寺さん……」 胸が締め付けられて仕方ない。 大切なものを扱うように、私の手の甲に口付けてくれる姿に、また涙が溢れる。
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