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5人の王と幻の果実
大王リアムと西の大王サリと東の大王エリゼと南の大王アテラと北の大王「ゼウラン」は世界に一つしかない幻の果実「カテナの実」を取り合っている。
この実は千年に一度 ほんの少しの時間だけ現れ 、すぐに消えてしまう。その味はこの世全ての美味の最高位と謡われる程絶品だと伝わっている。
そんな実が姿を表したものだから、各国の王たちが実を取りに玉座から立ち出現場所と伝わる地に出向いた。
「あっ。」
5人が全く同じ反応をする。
それもその筈。最高位と謡われる程絶品な実が現れたという情報を一人の大王だけ知ってるわけがない。当然のように全世界の王がカテナの実を採りに出向いていたのだ。
西の大王「公達より先に来たワシの早い者勝ちじゃ!」
北の大王「いいや、先に場所を特定したのはワシだからワシが食べるべきじゃ!」
東の大王「いやいや、悪いが この実を世界で一番欲していたのはワシだからワシが食べるべきじゃ!!」
南の大王「いーーーや!ここは、未来のある若手大王の僕が食べるべき!おじさん達は引っ込んでてよ!」」
大王「私は国の為にカテナの実を採りに来たのです!公達のような自分を満たす為とはわけが違う!」
5人「なんだとー!!!」
この王達、世界を魔王サリヴァから救ったり終末の大竜ファウネスを自らの手で討伐したりと、様々な功績や偉業を成した正真正銘の王達なのだが、1000年に一度しか現れ無い幻の実を前にして、まるで子供のように言い争っている。
南の大王「こうなっては仕方ない!ワシが先にっ!」
サリは「カテナの実」に手を伸ばした。
何物かがサリに剣で斬ろうとするが、咄嗟の反射神経で背中の大剣を抜き受け止める。
ゼウラン「ちっ....その腕を切り飛ばしてやろうと思ったのだが....」
サリ「ふー!危ないのぅ....ゼウラン殿」
サリを斬ろうとしたのはゼウランだった。
ゼウランとサリが睨み合う中隙を見たリゼがカテナの実に手を伸ばす。
次はサリがリゼに向けて大剣を振った。
リゼは魔法防壁で大剣を受け止める。
「あーあー!わかった!おじさん達もういいよ!ようは王が一人になれば良いんでしょ?
掛かってきなよ、ぶった斬ってあげるからさ。」
アテナが王達を挑発し3人の王達が敵意を彼に向ける。
ゼウラン「後悔しても、知らんぞ?小僧。」
サリ「確かに、全員倒して一人残った王が食べる方が速いじゃろうなぁ。」
リアム「しょうがない、果実一つの為に剣を振るうのは癪ですが....。」
リゼ「まぁ、その最後になるのはワシだが。しかし、大竜ファウネスを斬り倒したこの特大剣を再び振るう時が来ようとは...何が起こるかわからないものじゃのう。.」
カテナの実の前で一触即発になる王達 各々が剣と大剣を握り斬り掛かろうとした瞬間。
「あっ...いっそ、:じゃんけんで決めません?じゃんけんぽんって。」
その言葉を放ったのは大王リアムであった。
「最後にじゃんけんで勝った一人が取れると決めれば 血を流さずに済むんじゃないでしょうか?さすがに果実一つの為に血を流すのは代償が大きいですし。」
4人の王がリアムの発言を聞き顔を見合わせる。
ゼウラン「リアム....貴様....」
アテラ「本気ですか?それ....」
リゼ「なんということじゃ....」
サリ「貴様....。」
リアムを鬼のような形相で睨む王達。けれどその表情は一瞬にして明るくなり。
「それだー!!!」
4人が同時にリアムを指差した。
啀み合い、殺し合う寸前まで来ていたのに
最終的にじゃんけんというあまりに単純な方法に落ち着いた。むしろ、何故最初にじゃんけんにしようと誰かが言わなかったのか不思議であるが....「カテナの実」を前にして、考える偉大なる王達であれ頭が働いて無かったのだろう。
5人は円形に集まってそれぞれ聞き手を出して、じゃんけんの体勢に入る。
「それでは?行くぞ?」
北の大王ゼウランが確認し、4人の王達が頷く
「じゃーんけーん!...」
王達がじゃんけんをしようとした瞬間「カテナの実」から光が放たれた。
「!!?」
.王達は何事かとカテナの実に振り向くと
幻の果実は姿を消していた。どうやら、目の前で争っている内に出現時間が過ぎてしまったらしい。
「あっ....」
5人は顔を見合せる。
しばしの沈黙。そして
サリ「帰るか....。」
ゼウラン「そ、そうじゃな....。」
アテラ「消えちゃったらしょうがないよね....。」
リアム「そうですね、そろそろ戻らないと大臣に怒られそうだし....」
リゼ「悔しいが無くなった物は食べれないし、そこらへんの果実を採って帰るとするかのう....。」
カテナの実を採り損ねた王達は、とぼとばと
自国へ帰って行った。
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