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第二章/9
純粋な人間たる真人以外の人類は、総じて「亜人」と呼ばれ、国内では激しくさげすまされていた。かつて、蛮族として、ディルミナ国と対立していたためだ。
唯一の例外は、コプラ族のみだった。彼らは治療薬を提供していたため、手厚い保護を受けていたのである。むろん、「体毛を無償で与えなければならない」という条件が付帯していたのだが。
だからこそ、テティウス帝の暴挙については、皆、首をかしげてしまうのだ。「温厚な性質で有名な一族をなぜ、虐殺したのか」と、誰もが疑問に思っている。
ユディトにも、信徒たちにも解けない謎であった。悲しいかな、皇帝本人が明かさないかぎり、永久に謎は謎のままだった。
(神官長は、なにか知っているかもしれないけれど)
しかし、いま、彼は不在である。職務を遂行せねばならぬ立場上、安易に帰国するはずがない。
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