灰色の日常

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「そんなことを真面目にやってるから、あなた本当に嫌われるわよ?」 みさきに見えないよう、むつみは自分のスマホのアプリで生徒のデータを照合して裏を取る。 データとしては、みさきのことでもある程度のことは分かる。 ただ、超常研メンバーが異能力者になったのは最近のことだし特務部のデータベースにはみさきが超常研と接触したデータは入ってない。 地味子のみさきは周りからの印象が薄く、仮に情報を集めようにも他の生徒からの聞き込みが難しい。 情報のアップデートも頻繁にしているわけではないが、超常研は基本的に人に避けられるイメージの部活だし…地味同士目立たないからマークされていないらしい。 ゆえに、動きやすいのだが。 「…ですよねぇ。」 みさき、苦笑するしかない。 別に意識して繕っているわけでもないが、敵意をあまり感じさせない演技力はもともと人が良いみさきの強みだ。 そうやって、みさきは人をはぐらかしてなぁなぁで生きていたりする。 「むしろ、もっと自分を磨くしかないんじゃないかな?」 むつみは、ド正論の直球のアドバイスをみさきの急所にかます。 「磨く…って、私にはそんな特技はありませんよ。 成績も普通ですし、運動駄目ですし。 私は皆さんみたいに、恵まれていませんって。」 やや卑屈に、みさきは返した。 もともと、特務部のアドバイスはまともに聞くつもりはなかったが…直球は厳しい。 みさきもつい、ムキになってしまった。 ガシャン!! だが。 「…えっ?」 だが、みさきが反応出来るべくもない動きで悠二の手が彼女の後ろの柵を押しのけ、激しい音を立てる。 空気が裂けるような動きは、やや半妖の異能がかかっていた。 「ちょっと悠二!!」 一般人の前で使って良いチカラじゃない。 ―高鱒かのこ…希沙菜(きさな)のカタキダ!!― 「…ッ!」 しかし、みさきの脳内には昔の記憶が一瞬通り抜けて消えた。 感情が拒絶し…肉体が、硬直するほどの。 「ちょっと、みさきちゃん大丈夫? 悠二もやり過ぎよ!」 吐き気をもよおしたかのように震えながら涙をこぼし…脱力して口を押さえるみさきに、むつみが声をかける。 声も、あまり聞こえない。
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