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仮面の魔法使いは、超常研の正式なメンバーではなくかつ伏兵のために日常の授業は真面目に出なくてはならない。 身代わりを作っても良いが、特務部相手だとバレるからな。 襲撃は異形化した2人の超常研部員が体育館の生徒を狙い授業中にも行われた。 結界使いのミクズと、炎熱使いのホムギである。 「ハシモト…特務部…ツブス!!」 真正面からビームを発しながら2時限目の授業を破壊するホムギ。 陽動なんだから、予定より1回増えてもまぁ仕方ないわな…それにしても出過ぎである…よほど暴れ足りないんだなぁ。 「きゃぁぁぁぁ!!」 みさきは体育の授業中にもそんな怪物と鉢合わせることになる。 逃げまどう、体操着姿の生徒たち。 しかし、パニックを起こしても状況は変わらなかった…これ幸いと目当ての男女の距離を縮めようとする猛者もいたが、異能の怖さを認識していないだけかもしれない。 むしろ、それぐらいでちょうど良かった。 「カエリタイ、カエリタイ!!」 ミクズは術式結界で体育館を封鎖する。 てか、陽動なのに出入口を塞ぐな。 特務部が入ってこれなきゃ陽動の意味がないでしょ。 「グギャア!!」 ホムギのビームの乱射が半端ない。 閉鎖空間の高火力攻撃…何か力づくだ。 ミクズはあの時、一番人間でいたかった部員…ホムギは日常を鬱陶しがった部員。 日常に戻れない人間と、日常から脱却した人間のうっぷんが無抵抗の一般人に向けられる。 そろそろ火傷か炎熱被害かな…。 みさきはもちろん、体育館の隅で顔を伏せて手先をピクピクさせたり何か呟きながら倒れこんでいたが。 燃え盛る火炎の回りが速く、しばらくすると誰が何をやっているか分からない。 やがて、ミクズの結界にピシパシとヒビが入る。 「特務部だ、真っ昼間からやらかしやがって!」 「覚悟しなさい、怪物!!」 刀姿の悠二とピンクの隊員服のむつみが突入する。 残りの部員は、一般生徒たちの救助に向かった。 いや、記憶を消すからといって名乗りすぎでしょ…戦闘の連携チームワークは強いんだが。 それでいて、長く抗争を続けた相手との戦いの勝手は慣れたもんである。 むつみが先陣を切り、先輩たちが庇ったり指示を与えたりして攻撃のスキを与えない。 手足にダメージを与えて、戦闘力を削ぐのはなかなか良いところだ…被害を最小限に抑えることには特化している。
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