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ザンッ!! 「ヴぁぁぁぁぁあ!!」 「ひぎぁぃぃぃ?」 数合の打ち合いの後に、むつみが振るう悠二の刀がホムギの腹に十字の傷をつける…ミクズはそもそも結界が壊れたことで錯乱している。 「よし、トドメよ!」 だが、敵にむつみの放った一言には疑問がありそうなものなのだが。 トドメって、なに躊躇なく刺そうとしてんの? もとは人間だからやめとけという時点より、尋問とかしないの? 片方逃がして後を追うとかしないの? このあたりの仕事は戦闘員である自分の仕事ではないと割りきっているのかもしれないが、ナビ潰してるよね? それとも、またどこかの異能力機関が事実隠蔽のために誰か派遣してくれると信じているとか? 情報集めが他人任せ? 現場の一線で戦っている人が情報収集も一緒にやってくれないの? 被害者が増えるかもしれないのに、効率悪すぎる…さすが脳筋集団。 別の意味で生命の危険に焦った、特務部の誰かに救助されている誰かがそんなことを考えた。 「…ッ!」 脳裏に、炎の異能が絡みついて離れない。 とはいえ、今は動けない…助けたくとも肉体が緊張で硬直する…不信感と無力感が全身から生きる力を奪うのだ。 炎の闘気が凝固した刀が、美しい軌跡を描きながら二人に一度ずつ振り下ろされる。 ザンッ!! ミクズと、ホムギは特務部によって異界の力から解放された。 その身体は灰になって。 「…!!」 唇から、怒りがこぼれそうになる。 怒りというより、自分に対する哀しみが止められなくなる。 むしろ、二人は幸福だったのか不幸だったのか…それは、彼女一人で判別出来ることではないのだろう。 これはミクズとホムギのことなのだから、二人が判断することだ。 理性はつなぎの幅広襟に、感情は魔法使いの制服に。 2つの姿とともに心を使い分ける彼女の心は、内側で激しく渦巻いていた。
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