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ミクズとホムギが破壊した体育館の修理も終わらぬままに、特務部はヤグラが一人待つ体育館のステージに全員で突撃する。
校舎の破損は思ったより軽いが、焼け跡はやたら目立った。
重要地点で何かあると思っていたのに、顔も見せない人物が一人だけとは罠かと思ったが。
ヒュン、ヒュン!!
ヤグラは刀を振るう。
肉体に染み付いた記憶から作った魂だから、太刀筋も似ているのだ。
「もとより、全員総力戦のつもりだったが…主人が一人だけで良いって言ってたからな。」
仮面の魔法使いは制服により、性格が切り替わる。
彼女は日常でつなぎの幅広襟の制服を着ながら一般生徒に紛れている時はだいたい理性が勝ち、超常研の魔法使いの制服に身を包むと無気力な感情が勝つ。
人間、形から入るものらしいか結構変わるのも珍しい…信念を過信するだけあって根は素直なのだ。
今は残った二人の部員を守りたいという感情が勝っている…だからもともと悠二の身体だったヤグラを向かわせた。
顔を隠すのは向こうに潰させるためだ…ミクズとホムギのカタキその1である。
その2は他の二人がいると確実に巻き込むんで、ちょっと厳しい…だからもう彼女を追い込む役目が終わったから部員は邪魔になったんで片付けたいかのこ部長は計画をちょっと変えた。
特務部はヤグラ一人に相手させて、残りの二人は待機させることにしたのだ。
あくまでも仮面の魔法使いにすべてを決めさせなくてはならないのだ…言質を取らなくては契約は成功しない。
魔法使い相手はままならないので、本当に歯がゆい話であった。
相羽宰顧問も、そろそろ動くというに。
「なめられたもんだな。」
征梧も気にいらない。
「たかだか異能犯罪者の下僕にどこまで出来ると思ったが…やはり見放されたか。」
これは見くびっているわけではなく、カマをかけているだけ。
ヤグラが悠二の刀を持っているのは確認済み…だったらもとの性格上からして喋るかなと。
「あいつは、俺を見放してない!!」
ベタボレぶりは相変わらずだった。
先に突っ込んだのはヤグラだった。
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