転機

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「敵なんかに降るつもりはないッ!!」 仮面の魔法使いは、相羽宰顧問に噛みつくが向こうが魔術を使って攻めなくては何も抵抗しょうがない。 宰顧問は、さらに付け足した。 「無理だよ、君の能力は術式の解析と効果拡張の高度な知識の素養だけ…術を使わない相手に対しては何も出来ない。 でも、異能力機関では一般人遮蔽用の結界を拠点や本部を含めたあらゆる場所に配置しているから君を手に入れたら、そのすべてが一度に爆弾に変わる…一般人遮蔽用の結界なんて誰も調整しないからね。 だから、リーヴルは君を欲しがる。 それなのに、国は君に魔力がないというだけで放置だよ? 使いようによっては君についても立派な最重要案件なのに、国は頭が固いんだ。」 てか、国云々とかどこで調べたの? いち高校の部活の顧問じゃないでしょ、あんた。 術をパワーアップさせる方法を知っているだけの人間に対して、何かスケールが大きくなってるんだが。 話をしちゃ駄目だ…でも、作戦中の術を安定させるため逃げるわけにはいかない。 スルースキルは欲しいが、仮面の魔法使いには彼を無視出来る自信はない。 おそらく、彼は私の本名すら…。 「自分の信念なんて、生きるために世界に出れば多様な価値観の渦に飲まれていつかは消えていくもの。 守っていくには、多くの犠牲を払うことになる…犠牲を払っても恨まれるだけで守りきれるとは限らない。 世界はいつまでも残酷だよ、長谷野みさきちゃん。」 顧問は、仮面の魔法使いの名前を呼んだ。 「…!!」 彼女は、ショックのあまり地面にへたりこんでしまった。 仮面が外れ、ポロリと地面に落ちる。 その下には、亜麻色の短い髪の毛の上をつなぎの制服と同じ色のリボンで少し結わえた平凡そうな女子の顔があった。 「相羽先生、生徒に対する恐喝は犯罪ですよ?」 そのショックを見計らったように、魔法使い姿のかのこ部長が宰顧問の前に現れる。 かのこ部長にも、やはり気配がない。 「それを言うなら部員でもない生徒に部活の制服を着せてコキ使うのも、どうかと思うけどな。 てか、俺も一度着てみたいねあんたのその服。」 宰顧問だけは気づいていたようだが。 「あいにく、こちらは特注品ですの。 世界に一枚しか存在しませんから。」 かのこ部長が顧問に軽口を叩きながら何とか顧問からみさきを引き下がらようとするもみさきは動けない。 「そうだ、変わりなんかいねぇ。」 宰先生はゲラゲラ笑い、口にしてはならない言葉を口にした。
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