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その時、ハシモトが一人で超常研に対して何をやってどう黙らせようとしたかは知らない。
しかしその結果、特務部と超常研はこうして戦う羽目になったんだからろくなことはしてないんだろう。
そんなハシモトも行方不明…もともと交渉が得意な奴ではなかった。
それでも動かさねばならなかったのは、戦力安定と防衛線を守るためとハシモトがかのこ部長にやたら執着していたからだ。
顧問が学園長といろいろ特務部運営の方針云々を話しあっていて不在の時に、ハシモトは『奴の罪を浄化する』とかのこ部長との昔のゴタゴタについての話を繰り返し呟きながら特務部の中であからさまに不穏な要求を押しきったのである。
基本的に異能者は他者の古傷には深く立ち入らない。
過去を深く詮索する代償は、己の生命だからだ…異能力者はそんだけ重い人生を送っていたりする。
結果、分裂による戦力崩壊を避けるためなぁなぁで話は進んでこの結果…異能犯罪者が目をつけないはずがない。
名前も明かさないそんな異能犯罪者は高鱒かのこ部長と取り引きをしたというわけだ…超常研を守って欲しいと。
「しかし、事実は事実だ。」
創梧がむつみをいなす。
使えるもんは何でも使う…これが生きるコツである。
「問題は大物が直接出向いてオカルト研究マニアの一般人に接触するメリットがよく分からんということだな。
もしかしたら…?」
その他の可能性を、いくつか模索する。
しかし、多すぎて考えて絞れる問題じゃない。
一般人のオカ研部長を助けて、何が得をするのか。
この時、征梧は自分と仲間の甘さと傲慢さを始めて呪った。
異能にかまけて秘密を守るために、一般人との接触や彼らからの情報収集を怠ってきたことを…ゆえに正体を探るための情報がやたら足りないことを。
あんなに、顧問に釘を刺されたのに。
ヴォン!!
その後悔のスキをついて、超常研の部員が己の背後にむけて魔法を放った。
自分たちに当てるつもりはないらしい。
「…なっ!?」
ミシミシ…!!
だのに、ややあって自分たちの周りが軋む音がする。
始めてのケースに敵が何をやったのか、理解できない。
バリンッ!
作戦が崩壊し、特務部員が玉砕か撤退を考え始めたその時…戦場が崩壊した。
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