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これまでの経緯を聞いた僕は「冗談じゃない、僕は関係ない!」と抗議した。
「ほう。案外薄情なんだな」
明智さんが感心したように眉を上げる。
「だって……だって僕、確かに遠い親戚みたいだけど、久我亮衛とはほとんど会ったことないし。だから、もし僕が協力したとしても、役に立つとは全然思えません!」
「そっかあ……」
明智さんが、ふうっと息をついた。
だって……しょうがないだろう? 普段から付き合いのある親戚ならともかく、僕は久我亮衛の顔すらおぼろげなんだから。
「まあ、でも、君には久我亮衛を探す責任がある」
はあ?
なぜそうなる!
「私も詳しくは聞いてないんだけどね。君のお母さんの兄の息子の再従兄弟とかいう人物が、どうしても君に探してほしいと言ってるんだよ」
…………だ れ ?
「昨日はその人物から、丁寧に菓子折りが届いた……」
「まさかそれ……食べちゃったとか……?」
「いやあ、やっぱ美味いね、ルトゥー・ドゥ・ボヌールのお菓子は!」
あっはっは、と笑う明智さんを見ているうちに、僕は本当に頭が痛くなってきて、片手で頭を支えなきゃならなかった。
その時、ノックもなしに倉庫……じゃなくて、部屋のドアが勢いよく開き、僕は反射的にドアに目を向けた。
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