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度重なる怪奇現象に、僕は、今度こそ卒倒した。
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「あーあ。気ぃ失っちゃったよ」
明智が、床の上で大の字に伸びている宮本悠真をつつきながら呟いた。
「ったく、あんたらどんだけ怖がらせたんだよ!」
段ボール箱から這い出てきた、全身包帯だらけの志馬が呆れて息をつく。
「私は怖がらせてなどいない。椎野が──」
「俺じゃない。9割がたテメエのせいだ」
「残り1割は?」
「志馬が段ボール箱を揺らした事がきっかけで失神したから、志馬だな」
「まったく、私の出番がなかったじゃないか!」
吸血鬼の扮装をした久我が、ソファの影からぬうっと現れた。
「いや、テメエはそもそも、なぜこの時期にハロウィンなんかやろうと思ったんだ?」
「ハーフハロウィン!」
「おい……本当のハロウィンは10月だぞ。今は7月なんだが」
「細かい事は気にするな!」
久我は漆黒のマントを翻し、宮本悠真の傍らに座り込んだ。
「ああ……コイツは1年のイベントのすべてをぼっちで過ごしていると、私の叔父の兄の従兄弟の息子から、コイツの母親が心配していると聞いて、我が班のハーフハロウィンに招待してやったのに」
「ミスキャストだな。まず明智が怖すぎる」
「はあ? 萌えに走った椎野に言われたくねえなあ」
「なあ、俺は? 俺のミイラ、どうよ? 包帯もさ、真っ白なんじゃなくて、ちょっと汚して、端をほつれさせてみたんだよ! あとこの辺とか、よく解らねえ液体の染みを作って──」
心底どうでもいい。と、志馬以外の者が内心で呟いた。とりあえず気を失っている哀れなぼっち・宮本悠真をどうにかしなければ。
[END]
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