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そういや志馬さん、“ペクチブ”を頻繁に覗いているんだっけ。もしかして──。
「あのっ、もしかしてあの、萌えキュン作家の“ゆーみゃん”さん……?」
うわあ、僕のペンネームどころか、キャッチコピーまで知ってる!
驚愕に青ざめる僕の表情から答えが「イエス」だと判断したのだろう、志馬さんの顔がぱああっと輝いた。
「うわーっ! 俺、ゆーみゃんさんの大ファンなんですよ! なかなか東京インターナショナル展示場に行けないから限定グッズは諦めてるけど、通販されてるぶんは全部買ってるし、あと、あと、無配のを“ペクチブ”で公開してくださってるの、すっげえ嬉しいです!」
「えっ……そうなんすか……」
「俺ハピエン厨だし単なる萌えだけじゃなくて萌えに至るまでの緻密な心理描写がゆーみゃん先生の最大の魅力であって先月にうぷされました先生の最新作におきましては"みーたん"がうっかり"りょーたそ"の大事な大事なマグカップを割ってしまわれたくだりなんぞはもう最の高の萌えの極み!!」
うわ、マジか、この人ホンモノだ……。
志馬さんに握られた手をぶんぶんと振られながらふと気付くと、まわりには誰もいなくなっていた。
結局、久我さんがなぜ僕を呼んだのか、謎は解明されないまま、僕は延々と志馬さんの「萌えキュン話」に付き合うことになった……。
[END](すみませんすみません)
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