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会社にて
帰宅して冷静になって、俺は改めて自分のしでかした事の大きさにうちひしがれた。
人事に関わる取締役補佐に手を出したのだ。藤乃宮さん本人には謝罪したとはいえ、ただではすまないだろう。下手すると解雇もあり得るかもしれない。
こうして、いつも以上に憂鬱な月曜日を迎えるはめになった。
「おはようございます…」
「おい、どした?いつにも増して元気がないぞ?」
案の定、出社すると山内さんに指摘された。
「いえ、大丈夫です。たぶん」
「たぶんて何だよ。気をつけろよ、最近寒くなってきたから」
山内さんに背中を軽く叩かれる。いつもだったら、こういう何気ないやり取りで気持ちを切り替えられるのだが、今日はそうもいかなかった。
昼休みもなるべく遭遇しないよう、自分の席でご飯を済ませた。
結局、月曜は人事からの連絡も上司からの呼び出しもなく終わった。ひとまずホッとしたが、まだ油断はできない。
終業後にふと、俺のスマホに通知が来ているのに気づく。メッセージアプリで、八城店長からだった。おそらく、会える日の連絡だろうと思い、開く。
「…!!」
しかし、その内容を見て、俺は思わず変な声が出そうになった。
〈第5章 終〉
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