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怪しんで黙る俺を尻目に、生徒は続けて話した。
「そっちは俺を知らないかもだけど、こっちはずっと大っ嫌いでさぁ。だから嵌める機会狙ってたわけ。気づかなかったでしょ。クソ鈍そうだし」
言われてやっと理解する。どれだけ嫌われているんだ、自分。というより俺、ここまで嫌われるほど何をした。
直接関わったことがないので、心当たりと言えば正直『見た目がうざい』ぐらいしかない。……とりあえず謝っておくに越したことはないだろう。
「そう、だったのか…悪い、全然…気付かなくて…何か迷惑かけてたなら、教えてく「ばっかじゃないの」
しかし心がこもっていないことがばれたのか、形ばかりの謝罪すら途中で遮断されてしまった。いや、こちらも本気で何をしたか分からないので、それぐらい言わせてほしいのだが。
「アホっぽい顔してられんのも最後だよ。これからあんたは今日という日を一生引きずることになるんだからね」
そう言ってクスリと笑った美青年。愛らしいパーツで形作られるその笑みは……まるで獲物を捕らえた捕食者のように残酷で。
「っ……」
……ああ、まずいな、これ。
鈍い俺すらそう感じるほど、
危険な香りがした。
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