1579人が本棚に入れています
本棚に追加
余裕そうな笑みを憎しみの色に変え、しっかりとこちらに向き直った青年に、心外ながらも怯えてしまった。俺は、殺されるのか。26歳には……なれないのか……?
訳分からず、混乱極まる。とにかく身の危険を煽られ、部屋の奥へ後ずさってみたが、相手は何故か制服のボタンを開け始めていた。
なんだなんだどうすればいい。というか彼は何をしているんだ。何故脱いでいるのだ。
「ちょ…、おお、おい…、お、お、落ち着け…その…、とりあえず一旦、一旦、よく考えて──……!」
焦燥感いっぱいで後退する背が、最奥のパソコンデスクにぶち当たる。怨恨と言ったって様子がおかしい。ポケットにナイフでも隠していそうな雰囲気だ。
「は、早まるな…っ、俺なんか殺したって……時間と労力の無駄だぞ……!」
「……はあ? 殺す?」
「っ……」
「まあそれも悪くないけど……俺が本当にあんたに思い知ってもらいたいのは、
――生き地獄だからね」
最初のコメントを投稿しよう!