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「……で! それがまさかのそいつだったわけよ!」
「へぇ」
隣の馬鹿はずっと喋っているが、毎度のことなので、特に耳を傾ける必要はない。周りを囲う建物と無駄に充実した設備を眺めながら、気怠い足を進めるだけ。だだっ広い敷地内は何でも揃っていて便利だが、移動するぶんには非常に不便である。
「お前さあ、ちゃんと聞いてる!? 聞いてないっしょ!?」
「おう」
「じゃあ“そいつ”って誰だか分かる?」
「さあ」
「おーいまじで聞いてねぇー」
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そんなこんなでようやく着いた空き教室。勢いよく扉を開けると、すでに来ていたのは3人。
「おっす、お二人さん」
そう言って隣の椅子を引くのが七瀬。
「早ぇね。どうしたん? あっ、まさかお前今日、手作り弁当「ちげぇよ」
茶化すように聞いてくるのが小泉。
「あれ? 冬馬は一緒じゃねぇの?」
不思議そうにこちらを見つめているのが御子柴。
ここに俺と佐久間、まだ来ていないようだが冬馬瞬を入れればいつものメンツだ。
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