2-1.指導室(大和視点)

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 ❖ ❖ ❖  昼が終わった。  結局冬馬は来ないまま。七瀬・小泉ペアは5限があるため昼で退散した。一方、俺と御子柴は5限だけ空いているので、同じ空き教室で来たる6限を待つ。佐久間は5・6とも空いてるんだから帰宅すればいいのに、何故かずっと横にいて喋っている。 「冬馬のやつ来なかったなー。どうしたんだ? 返信すらくんねーし」 「既読スルーとかあいつにしちゃ珍しいよな」  するとふと、佐久間と御子柴の間に冬馬の話題が上がった。……そうだ。この5限、俺はもともと冬馬と指導室に行く予定だった。やめたのならやめたで返事を寄越すような奴なのだが。 「………………」  「指導室どうすんの?」という吹き出しの左横に小さく表示された『既読』の文字。今まで冬馬が俺との約束を破ったことなど無かった。ましてや既読無視という点が怪しい。舞台は平和な学校なのき、何故かこの日は……一抹の不安が胸をよぎった。  なんかあったか……?  あいつちっこくて女みてぇなくせに気強ぇからな。誰かの喧嘩買って、リンチにでもあってんじゃねぇだろうな。   「……あり得ねー」  いや、そういえば前にもそんなことあったような……たしか4年ぐらい前のことだった。あの頃の冬馬は今みたいに垢抜けていなくて、どこか荒れていて……先輩相手にボコられてたところを、たまたま俺たち5人が助けたような…… 「ねみぃ……」  と言っても相手は俺らと同じ18の男。心配することなど何もない。今となっては喧嘩するような性格でもないし。  そう言い聞かせつつ、机に突っ伏す。大方、襲ってきた睡魔に勝てなかっただけだが。 「それがさぁ……あの──、……」 「……、──は馬鹿なんだから……しろよ……」  隣で騒ぐ佐久間と、それに対応する御子柴の声を聞きながら、ゆっくりと目を閉じた。
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