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全身固まって動けなくなった。
──────………
指導室は予想どおり荒れていた。赤本や資料が床に散乱しているが、これも想定内。唯一予想と違ったのは、最低3、4人いると思っていた室内に、俺を除いて2人しかいなかったことだ。
奥のパソコンデスクに倒れ込む冬馬と、その上に覆い被さる教師らしき男。後者の方は腕が邪魔で頭すら見えなかったが、反対に冬馬の服は乱れていて、上半身……裸だった。
「っ、は………?」
何が起きているのか理解できず、ただただその場に立ち尽くした。室内にはひんやりとした空気が充満し、思考と身体も凍ったまま。そんな呪縛を解くように、最初に口を開いたのは、
「大和……助けに……来てくれたの……?」
冬馬だった。
「………何してんだてめえぇぇっ!!!!」
我に返り、上から押さえつけていた男を殴り飛ばした。すると俯いていた野郎の姿が真正面から明らかになった。
「────なっ!?」
(な、んで、なんでこいつが………!?)
なんとあの根暗現代文教師だった。意味が分からない。殴られて床に倒れ込んだ相手も、見つかって気が動転しているのか何も言わない。
なんだ、どうして、こんなやつが、
は? まじで、はああぁぁっ!!?
「なっ、んで、」
「………………」
一瞬…ほんの一瞬、二人が肉体関係にあるのかと疑った。しかし泣きじゃくる冬馬を見れば合意でないことぐらい明らかだった。そうと分かった途端、一気に頭に血がのぼり、無我夢中で拳を振りかざした。
詳しくなんて分からなくていい。どんな仲だろうが知ったこっちゃない。冬馬は俺たちの大事な友人。それをこいつは傷つけた。理由はそれだけで十分だ。こいつを殴り殺す理由は、
きっと、それだけで――
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