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(五月視点)
「本当にあんたに思い知ってもらいたいのは、生き地獄、だからね」
右手を掴まれ、強引に引き寄せられる。
「っ………」
両者の立ち位置が逆になった。今度は俺がドア側に背を向け、彼がパソコンデスクに乗り上げる形になる。
“生き地獄”
クサい単語ながらも、本気度を感じ取って真剣に考えてしまった。生き地獄、とは……何だ。まさか監禁、拷問……いいや、社会的死、とか。もしそうだとすれば本当にまずい。早く逃げなければ。
慌てて手を振りほどこうとしたが、力が強すぎて敵わなかった。
目の前の相手はスマホの画面をこちらに向けた。なんのためにそんなことをしているのかさっぱり分からなかったが……画面を見ろ、ということだろうか……
「じゃーん。今からあんたは俺を襲った犯人になるんだよ。分かる?」
よく集中して見てみると、そこに映るのは誰かとのトークルーム。一番最後の吹き出しには「たすけt」と表示されていた。
“俺を襲った犯人になる”
何のことだ。襲われているのは俺ではないのか。いや…ということは俺は襲われなくて済むのか。じゃあ「たすけt」というのは誰の言葉だ。
「………………」
えっと……誰が……誰を、襲うんだっけか。そもそも……襲うって、なんだった……
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