2-2.指導室(五月視点)

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「だから俺は落ち着いてるって。うっざいなぁ」 (な…んで……)  何故ここまで恨まれている。今まで平々凡々に生きてきたのに。言い訳も謝罪も許されないぐらい酷いことをした覚えはないし、こんなふうに暴力を振るった覚えもない。 「っ………」  激痛に堪えている俺を横目に、相手はズボンのポケットから小さなボトルを取り出した。そして片手で器用に開け、中の液体を飲み始めた。  な、んだ、あれは……  バリウムか何かか……?  いや、絶対に違うとは思うが。雰囲気的にものすごく嫌な予感がする。危険なものではないのだろうか。 「おい、お前、何して───…… 「なんでっ! 新名先生! なんでですかっ! どうしてこんなひどいことするんですかっ!!!」  ……………ど、 「なんでッ! 嫌! 嫌だっ! やめて下さいッ!!」 「……っ、え……」  どうした。それに尽きる。  俺は突然発狂し出した男子生徒相手に、ただ呆然とするしかなかった。  ”やめて“  どちらかというとこちらの台詞だと思う。そろそろ右手が壊死してしまうかもしれないので…… 「お、い、大丈夫か……いきなり…どうしたんだ…いい加減…手を離してくれないか……」  恐る恐る問いかけると、ものすごい勢いで胸ぐらを掴んできた。しかもそのまま後ろに倒れ込むものだから、俺も引っ張られて前に揺らぎ、男子生徒に覆いかぶさる形となった。
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