2-2.指導室(五月視点)

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 床に散らばった資料やら本やらをおおまかに片付け、体を引きずりながら指導室を出た。  全く……散々な午後だ……これからこの学校でやっていく気力が失せた。  放課後も終わりに近いからか、校舎にはほとんど誰もいなかった。しかし、すれ違った生徒数人には三度見、四度見された。日頃から交流が浅く、俺自身“影”なため、「大丈夫ですか?」なんて声をかけてくれる奴はいない。そのことにほんの少し寂しさを覚えつつ、昼と同様、静かな廊下を進んだ。 「……いた…、っ……」  一人というのは気楽でいい。だがこんなときは考えものである。やはり助けを呼べる知り合いの一人や二人作っておくべきだったか。まあ今そんなことを考えている時点で、どれだけ社会性を欠いているのか…、って……
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