男運がない?

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男運がない?

 男運と言うものがあるとしたら、私はズバ抜けて悪いと思う。  そもそも最初の男が悪かった。  最初の男ねぇ…  別れた男の悪口を言えば、自身の評価を下げることになると分かってる。  だから口には出さないけれど、ふと、たまに振り返ってみたりする。  本当は思い出したくないけど、でも確実に私の男運の悪さのルーツであり、彼の話を語らなければ物語が進まない。  最初の男、その名はマー。  色んな意味で初めての男。  高1の時、入学して間もなく付き合った、同じ高校の別学科の同級生。  始めはすごく男らしくて、頼りになる人だと思ってた。  でも付き合ううちに、人を見下すような所がある事を知った。  彼は友達に対しても、支配的で威圧的だった。  彼の手に収まるような大人しいタイプ、自分のワガママを通せる相手を友達に選んでいた。  付き合ううちに不信感が生まれたのも、当然だった。  そして私の気持ちが離れた決定的な原因は、ケンカすると彼のママから仲直りしてくれない?と、電話がある事だった。  彼の良くない噂や中学時代の話も私の耳には自然に届き、彼をよく知る女子は彼は辞めた方が良いと何度も何度も忠告してくれた。  そして半年も経たないうちに、私は彼に別れを告げた。  しかし彼はことあるごとに待ち伏せしたり、時には私の前で泣いて泣いて泣き落としを企てたりもした。  そんな事が続いたある日、彼は思い通りにならない私に手を上げた。  左右の頬を平手で殴られ、最後に額を思い切り平手打ちされた。  私は勢いよく地面に尻餅をついた。  それと同時に私の前に男子が立ちはだかり、彼を抑えつけるようにして私の視界から2人は消えて行った。  何が起きたのか、状況を理解するまでに時間がかかった。  叩かれた左右の頬と額にビリビリとした痛みを感じながら、ぼんやりと頭の中を整理してみた。  だけど、やっぱり状況が理解できない。  少しすると、さっきの男子が私の前にしゃがんで私の顔を覗き込んだ。 「大丈夫か?痛くねーの?」 「まだ痛い…」  私は小さな声で、呟くように言葉を発した。 
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