59人が本棚に入れています
本棚に追加
「だよな。痛ぇーよな?赤くなってる…」
そう言うと、彼は両手で私の頬を包むように触った。
そして、私の額に自分の額を押し付け目を閉じた。
何だろう?
すごく近いから、すごくドキドキしていた。
金茶色の短髪でとてもチャラそうだけど、優しそうでキレイな顔立ち。
そして彼は目を開けて、ニコッと笑った。
私はやっぱりドキドキしてしまった。
「あんな男辞めて、俺にしない?つーか、繋ぎで構わないから、とりあえず俺にしときなよ。魔除けになると思うよ?」
自分の意志とは関係ない何かに突き動かされ、気付けば私はただ頷いていた。
彼は獲物を捕まえた獣のような強い眼力で私を見つめると、そのまま唇を重ねてきた。
危険な香りを漂わせる強引な男なのに、何故かこの人は信じられると確信した。
それが正解か間違いか、未だに分からないままだけど…
唇が離れると、彼は私の頭に手を乗せ私の顔を再び覗いた。
そして、反対の手を私の背中に回した。
その自然な仕草に、女慣れしてる事を感じた。
「俺はショウ。工業科の3年。アイツの先輩だから、金輪際お前に手出しはさせない。それは約束する。で、お前は?」
「あ、私ですか?ルナです。普通科の1年…」
「ルナか、良い名前だ。ルナは今から俺の彼女だ。取りあえず、連絡先教えて」
これが、ショウとの出会い。
ショウの言葉通り、あの日以来マーは私の前には現れなくなった。
それどころか、私の姿を見ると逃げるようになった。
ショウがマーに何を言ったのか、どんな話をしたのかは知らない。
だけどショウがあの学科で、どれだけの勢力を持っているのか何となく感じることができた。
ショウと付き合い始めたと言っても、学科も学年も違うので校内で会うことは少なかった。
ショウは見た目もあれだけ派手な分、生活もかなり派手だった。
最初のコメントを投稿しよう!