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私はこんなに好きなのに、私は本気で好きなのに、こんなに近くに居るのにショウはいつも遠い…
「ツキミってさ、ルナのことなんだよ」
「ハァ?」
この期に及んで白々しいウソを吐くの?
「ウソばっかり言わないでよ!」
ショウの腕から逃れようと必死に藻掻いたけれど、ショウの腕はそれを許さない。
「ウソじゃねぇよ?」
「知ってるんだからね。ツキミさんに私だって会ってるんだから!」
「あ?」
何そのマヌケな声。
そうゆうとこが、ムカつく!
「会ったじゃん!ショウの誕生日の日、おめでとう♡って可愛く言ってたじゃん?」
「あぁ?」
とぼけてる?
絶対、誤魔化されない!
「ゼミが一緒のスラッとした美人!ショウちゃん♡て呼ばれて、鼻の下伸ばしてたじゃん!」
「あー!」
ショウは思い出したように頷いた。
「ほらね?絶対騙されないから!」
ショウが笑えば笑うほど、私は苛立ちが募っていく。
「あれはユキミだよ。雪見紗菜(ゆきみさな)、だだゼミが一緒なだけだって言ってんだけどな…」
ショウは私を横目で見ながら溜息を吐き、苦笑いをしていた。
「え?じゃあ、ユキミって言ってた?えぇー、でもツキミって言ってたような?いやいやいやユキミだかツキミだか知らないけど、とにかくショウは寝起きに私じゃない人の名前を呼んだの!それが事実」
「だから、ツキミはお前だって言ってんじゃん?お前見て、ついツキミって言っちまったんだって」
「じゃあ聞くけど、何で私がツキミなのよ?」
「シンがさ、ルナって月みてーな名前だなって言っててさ。俺も最初はルナって呼ぶの照れくさくてさ、家ではツキミって呼んでたんだよ」
え?
なにそれ?
ツキミって私なの?
ショウが呼んでたのは私?
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