60人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、そっちじゃねーよ」
ショウは私の二の腕を引っ張り強引に抱きしめた。
「避けてたんじゃねーよ。言うとかっこ悪ぃから言いたくなかったんだよ」
「何を?」
「だから、好きだっつってんだよ!」
「は?」
「俺は最初から好きだったんだよ。だけどお前は俺のこと好きって言うより、救世主みたいに思ってただろ?俺が何しても何も言わねぇし、だから好きだなんてかっこ悪くて言えなかったんだよ。お前に本気なのバレたくねーから遊んでるフリしてたんだよ」
「は、あ、へ、え?」
す、好きって?
ショウが私を好き?
な、何、この展開?
びっくりし過ぎて、頭がこんがらがっている。
ショウの言葉で今まで私の中にあった怒り、不安、心配、悲しみ、悔しさ、いろんな感情が一気に弾け飛んでしまった。
放心し固まる私、苦笑いするショウ。
「最初からやり直すか?」
そう言うとショウは、不意に両手で私の頬を包み込むようにして触れた。
そして私の額に自分の額を押し当てると、目を閉じ静かに深呼吸をした。
その整った顔立ちに、今でも私の胸は高鳴る。
そしてショウが今から何を言うのか思うだけで、私の心は震えた。
ショウはゆっくりと目を開けた。
「ルナ、好きだよ」
「あ…うん」
「ルナは?」
「え?」
「ちゃんと俺見て、ちゃんと答えて?」
甘く囁くショウの声に、心拍数が勢いづくように跳ね上がる。
何回も言ってるのに、またそれを求めてくるショウ。
「好きだよ…」
私がそう答えると、ショウは満面の笑みを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!