ツキミという女

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「おい、そっちじゃねーよ」  ショウは私の二の腕を引っ張り強引に抱きしめた。 「避けてたんじゃねーよ。言うとかっこ悪ぃから言いたくなかったんだよ」 「何を?」 「だから、好きだっつってんだよ!」 「は?」 「俺は最初から好きだったんだよ。だけどお前は俺のこと好きって言うより、救世主みたいに思ってただろ?俺が何しても何も言わねぇし、だから好きだなんてかっこ悪くて言えなかったんだよ。お前に本気なのバレたくねーから遊んでるフリしてたんだよ」 「は、あ、へ、え?」  す、好きって?  ショウが私を好き?  な、何、この展開?  びっくりし過ぎて、頭がこんがらがっている。  ショウの言葉で今まで私の中にあった怒り、不安、心配、悲しみ、悔しさ、いろんな感情が一気に弾け飛んでしまった。  放心し固まる私、苦笑いするショウ。 「最初からやり直すか?」  そう言うとショウは、不意に両手で私の頬を包み込むようにして触れた。  そして私の額に自分の額を押し当てると、目を閉じ静かに深呼吸をした。  その整った顔立ちに、今でも私の胸は高鳴る。  そしてショウが今から何を言うのか思うだけで、私の心は震えた。  ショウはゆっくりと目を開けた。 「ルナ、好きだよ」 「あ…うん」 「ルナは?」 「え?」 「ちゃんと俺見て、ちゃんと答えて?」  甘く囁くショウの声に、心拍数が勢いづくように跳ね上がる。  何回も言ってるのに、またそれを求めてくるショウ。 「好きだよ…」  私がそう答えると、ショウは満面の笑みを浮かべた。
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