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「機嫌直せよ」
ショウは私の髪をポンポンと撫でると、優しい眼差しを浮かべた。
「嘘吐き…」
私はショウを見上げながら、小さな声で呟いた。
ショウは少しだけホンの少しだけ哀しそうな表情を浮かべたけど、それを悟らせないようにするためか、私の頭を抱えるように抱きしめた。
ショウはズルい。
大事なことは言わないし、私が聞きたいことはいつも誤魔化す。
やっぱりショウは、私なんか好きじゃないんだ…
「悪かった…」
そう言うと、ショウはまたサングラスをかけて、車を走らせた。
楽しみにしていた久し振りのデートなのに、車の中は険悪なムード。
窓の外を必死に眺め、怒りを必死に鎮める。
運転してるショウの横顔を見るのが好きだけど、今はショウの顔は見たくない。
どれくらい走ったのだろう?
ショウは車を砂利の駐車場に停め、シートベルトを外し外に出た。
そして助手席に回り、ドアを開けた。
「おいで…」
優しいけど、この慣れてる感じが堪らなく腹立だしい。
私はショウを睨む。
ショウは屈んで私の唇にキスをした。
「今日は騙されない」
キスをされながら、いつもより低い声で呟く私。
「ぷっ」
ショウが笑い出す。
私は不機嫌オーラ全開。
自分でもちゃんと自覚してるけど、今日の私はかなりのカマチョ…
ショウは私の手を引き、ゆっくり歩き出す。
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