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第2章
人の記憶は意外と早く薄れていくものなのだ。教室の机が1つ減ってから1週間が経ち、もう誰一人ユージのことを口にするものはいない。
季節は確実に夏に向かっている。
外では太陽の光がジリジリとアスファルトを焦がし、今年初めてのセミの鳴き声が耳鳴りのように響いていた。
教室のエアコンも熱せられた空気を冷やすためにフル稼働しているのだろう。ときどき唸るようなモーター音を上げて授業を妨げる。
歴史の先生は、相変わらず念仏のような声で授業をし、何人かの生徒は机に突っ伏して眠っている。
私は一通り板書をノートに写し終えると、授業の終わりのチャイムがならないかと時計ばかり気にしていた。
そのとき、右後頭部に弾けるような痛みを感じた。びっくりして後ろを振り向いて理解した。
カズマが死んでいる。
驚きのあまりしばらく呼吸ができなかった。
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