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「次、ポジション、マネージャー補佐。」
そういって渡されたのは小さな手提げカバン。
「君の入部届けの字は誰よりもきれいで読みやすかった。だから、そのカバンにあるノートにしっかりと部員達のメニューとかを記録するように。あと、ストップウォッチ等必要なものは詰めておいた。」
そう言われた少年は理解が追い付いていないのか、ただ呆然としていた。
しかし、その頬には確かに涙が伝っていた。
そして、次にコーチは寺尾の名前を呼んだ。
寺尾は不安でマイナスな事しか考えれない状態であった。
なので、少々酷いことを言われたとしても受け入れれると思っていた。
「次、第二野球部。場所はこの紙にある所になるそこで詳しく聞くように。」
寺尾はなんの事か分からず紙を受け取った。
その瞬間であった。
「第二野球部だって、事実上の戦力外じゃん。」
「欠陥品、落ちこぼれ、負け組の仲間入りかよ。」
在校生たちは嘲笑うかのように口々に大声をあげ、腹を抱えて笑い始めた。
寺尾は在校生たちが何を言っているのか分からなかったが、本能的にどうしようもないことになっていると察して、紙を握りしめて室内練習所を飛び出していた。
やみくも走ったのに運命だったのか、偶然だったのか分からないが古びた部室棟の扉の前に寺尾は来ていた。
そこの扉には第二野球部という表札があった。
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