1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここは第二野球部。この学校のガラクタや落ちこぼれの巣窟。簡単に言えば負け組ってことかな。」
「負け組?」
「そう。ここは、部活の戦力にならない奴とかが来る果ての所さ。」
寺尾は何となく柏木が言っていることを理解した。
「第二野球部がどういうものなのかは少し分かったんですが。なら、なぜ先輩がここに?」
寺尾は不思議に思っていた。
柏木は中学時代エースで四番として野球部を一度だけ全国大会出場まで引っ張り、特待生としてこの学校に入学した程の実力だった。
それに昨年の夏も甲子園出場メンバーに一年生ながらに入っていた。
「俺さ、甲子園の後すぐに肩を故障してしまって球数制限が出来てしまったんだ。1日20球じゃ1イニングくらいしか使えない。」
「でも、先輩にはバッティングが、、、。」
「俺も投手を辞めて野手転向したんだが、一度狂った歯車は戻ること無くガラクタの烙印を押されたって訳だ。」
寺尾の憧れであった柏木はもう見る影もなくなっていた。
柏木の目にはこの待遇にも諦めがついているかのように死んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!