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入部テスト
「1年4組 寺尾 浩(てらお ひろ) 一般入試です。」
広いグラウンドに大きな声がこだます。
グラウンドのあちらこちらでは金属音や、ボールがミットに収まる音が鳴っている。
今、グラウンドで行われているのは新入生の入部テストであった。
一般入試と特待生の実力をみて、一軍二軍そして、適正ポジション等が言い渡される。
今年の入部希望者は30人程。
その中には全国でも名の知れたピッチャーやスラッガーもいたりして、そのほとんどが特待生で一般入試はほんの5人程度。
全員の入部テストは日が沈むまで行われた。
室内練習所に移り、2、3年生の前に1年生が整列させられた。
コーチより一人一人の所属が発表されていく。
全国区のピッチャーやスラッガーは当然のごとく、一軍の希望ポジションとなり、5人程の一軍が決まった。
そこからは、二軍行きの生徒の発表、所々で希望ポジションでなかったりと困惑したり不満げな生徒もいた。
そして、一般入試の生徒の発表となった。
1人目は二軍と決まった。
「次、二軍。ポジション、ピッチングマシン。」
寺尾は耳を疑った。
それよりもそういわれた生徒は聞き間違いかと思い、聞き直していた。
「残念だが、君のレベルでは選手として扱えん。上級生にもそう言われて、部のために動いている者はいる。」
ガックリと肩を落として、消えかけた返事が聞こえた。
何と言う残酷な宣告、全国区の強豪校には犠牲がつきものなのか。
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