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遠征
千遜義勇軍と鄭国残党軍との戦いから数か月後。
残党軍は軍の主・凱信を失い勢力を大幅に減少しつつあった。
しかし、領土の各地では相変わらず両者の戦いが続いていた。
その中で、100人隊から勢力を伸ばす隊があった。
慶率いる軍である。
先の戦で猛将・賀斉をそして、軍師・蒙喝を打ち取ったことで恩賞を
100隊から500隊へ昇格を受け、その先の戦でも実力を上げつつあった。
そんなある日、義勇軍ではある会議が行われていた。
「我が義勇軍は先の戦で中心拠点を占拠。先行軍が最西端の拠点5か所を除い
た他の拠点も数日で侵攻開始します。兵数も兵糧も安定しており、この先は
当面心配ないかと、」
「詠訟ご苦労。
さて、皆の者。よくやってくれた。これで義勇軍が8割の拠点を占拠した。
あと一息じゃ。各隊らを労わってやれ。頼むぞ」
「はっ!」
軍議は解散した。
詠訟がその場をあとにすると後ろから声がする。
「おお、詠訟。」
「融嬴様。お疲れ様です。」
「お疲れ様、ところで聞いたぞ。
やつら、相変わらず活躍してるらしいな。」
「ああ、慶達ですか。
この前も、倍の規模の軍に勝利したそうです。私が軍運営の為あいつら
から離れた後も500人で団結して各作戦を順調に遂行しているそうです」
「彼らの500人隊はあの潜入部隊の時のか。
成長著しいな。」
「ええ、そういえば今日、拠点から一時帰還するそうですよ。」
「そうか、時間があるなら行こうと思っていたが今後の戦の事で話し合いだ」
「今度の最先端地の事ですか。」
「ああ、これが終われば残党兵との戦も型が付くからな。じゃあ」
「ええ。では」
歩み始めると詠訟は兵に呼ばれる。
「詠訟様。書簡です。郭李殿あてだそうです。」
「郭李に?わかった。今日戻るから渡しておくよ。」
「お願いします。」
この詠訟が受け取った書簡をもって500人隊を迎えに行く。
千遜村の宿営地の少し離れたところから砂煙が見えた。
「おお、帰ってきたな。」
それは慶率いる500人隊の面々であった。
慶らの100人隊を本隊とし500人の義勇軍の兵ら義勇軍へ帰還した。
「詠訟殿。今戻りました。」
「おお、お前たちご苦労!」
「詠訟のあんちゃん。わざわざ来てくれたのか」
「周、相変わらず元気そうだな」
「本当ですよ。こいつ元気良すぎてよこで援助するこっちがヒヤヒヤっすよ」
「おお、唐清。それはご苦労だったな。」
「よし、お前たち。兵糧管理任したぞ。」
「っは!郭李様!」
「よお、郭李調子はどうだ?」
「ええ、任務は問題なく。でも、まだ訓練が必要かと」
「まあ、あせるな。お前たちのペースでいい。ゆっくりな」
「ありがとうございます。」
「あ、これ。お前に書簡が来たぞ。」
「俺に?」
郭李は書簡に目を通す。すると途中で表情が厳しくなる。
「これは、、、、」
「どうした?」
「ある極秘任務を受けてもらいたいと俺ら義勇軍に。」
「極秘任務?差出人は?」
「それが、、、、孫国軍総司令・昇楼君(しょうろうくん)
からだ。」
「昇楼君!!」
「ちょっと待て!昇楼君っていやあ、お前の父ちゃんが死んだ戦の時の総大将
だよな。何でお前に」
「依頼だ。義勇軍全体宛みたい。
でも、俺に話したいこともあるらしい」
「行くことはないぜ!郭李。なんで他国の手伝いを俺らがしないといけないん
だ。しかも、お前の父ちゃんの仇を手伝わないと行けなんだ。」
「、、、そうだよ。郭李。断ろう。無理に引き受けなくてもいいんだぞ」
郭李はしばらく考えた
「詠訟殿。軍長様にこの書簡を。」
「郭李!」
「俺の事は気にしなくてもいい。
何も父上は奴に切られて死んだんじゃない。
その時の内輪もめで死んだようなものだ。しかも、依頼は義勇軍にだから軍
長に通すのが筋だろう。それに、」
「それに、」
「父上が戦で覇を競っていた男がどんな男か会ってみたい。
これからの軍の事は俺自身の事を考えると現役の将軍級の男に戦以外で
交友できることなんてそうないだろう。」
「、、、わかった。とりあず。軍長に伝えてくるよ。」
「ありがとうございます。」
詠訟は宋紀のもとへ行った。
「なるほど、、、孫国・軍総司令自ら彼に手紙をのお。
で、郭李自信はなんといっておるのだ?」
「自分の事は気にしなくていいと。
自分自身や今後の軍の為にもその男と話してみたいと言っています」
「そうか、」
「宋紀様、私はこの依頼受ける必要がないと思います。
任務の内容も伏せられあいては他国。
それだけでもかなり危険です。しかも、隊員の父上の死に深く
かかわっているのならなおさら、、、」
「これを郭李に渡せ。」
「宋紀様。」
「義勇軍として遠征部隊を作り孫国で任務へ当たれ。」
「どうしてですか!」
「郭李の意思を優先するただそれだけだ。
その代わり少しでも理不尽なことがあればすぐに帰還するという条件付き
だ。」
「、、、、わかりました。」
「500人隊をこれより義勇軍の独立遠征部隊として組みなおす。
やつらはこの通常の任務外の外交任務などの任務を専属させる。
すぐに隊長・慶に伝え遠征に備えよ」
「は!」
こうして、遠方孫国の書簡にて慶らは独立遠征部隊として西北の地・孫国へ
行くのであった
そして、孫国。
王宮では急いで謁見をもとめようと孫巖のもとへ行こうとする昇楼君の
姿がった。
「総司令!お待ちを。王は今急用がありお会いになれません」
「急いでとりつげ!!国の存続にかかわることだぞ!」
「落ち着いてくださいませ!」
「鳥有(ちょうゆう)お前というものがありながら、なぜ
六カ国同盟などと暴挙を許したのだ!!
あのような物を推し進めたらこの孫国はすぐに滅ぶぞ!
分かっているのか!!」
「申し訳ありません!夜遅くに王宮を抜け出し秘密裏に締結した
故、止める事ができませんでした。しかし、意見するものは
斬首にすると王も言っておられるのです。」
「斬首がなんだ!
我らは国の将・臣下の前に民の代表なのだぞ!
こんな民を困窮にあえて陥れることが許されるわけないだろうが!
轟亮勢力の事も我ら軍全体で対応を練って民に影響の出ないように
対処をしておったのに。撤回はできぬのか!」
「無理です!
これを言い出したのは我が王です!
撤回すれば、この策が露呈し民を陥れる国と汚名を残すことに。」
「体裁を気にしている場合か!!」
「これは、昇楼君。」
「孫雄(そんゆう)様!」
昇楼君・鳥有は孫雄にひざまづく。
孫雄は孫国第二王子である。
「父上がまた、とんでもないことしたらしいですね。」
「いえ、それは、、、」
「鳥有。隠さないで下さい。もう、私の耳には入っています。」
「申し訳ありません、、」
「貴殿は悪くない。王を止められる臣下などなかなかいない。
とくにこの孫国のように王位優勢の国では逆らえば首が飛ぶ
のだから」
「孫雄王子。失礼ながら願いが!
どうか、先に締結された「孫国六か国同盟」の撤回を
父上に進言してはいただけませんか?」
「やはり、、その件でしたか。」
「わかっていらしたのですか?」
「あんな、内容誰が見ても暴挙とわかります。
確かに、轟亮勢力は脅威です。ですが、民を困窮させてまで
軍を興し、他国の管理まで孫国が請け負うなど自質的な
支配ととられても文句は言えません。
、、、、わかりました。私から進言してみましょう。
だから、心を静めてください。昇楼君。」
「ありがとうございます!!」
「では、私は別件で父に用事がありますので」
こうして、彼らは別れた。
その日の夜、王宮の書物庫で書物を読む昇楼君。
「もう、こんな時間か.蝋燭の火が少ない。
部屋へ戻ろう。」
その場を立ち上がると、ある人物が彼の前に現れた。
「??どうなされたのですか?こんな、夜遅くに、、、」
次の瞬間、昇楼君の首元に光るものが横切った、、、、
その場で倒れる昇楼君。
「な、、、なぜ、、、あなたが、、、、」
そのまま、昇楼君は息絶えた。
そして、千遜を旅経って数日慶らは孫国の国都・化鋳(かい)についた。
都に足を踏み入れた慶らはその華やかさに目を奪われる。
様々な商いが行われ世界各地から交易がきらびやかな建物の各地で行われて
いる。
「すげーな。他のやつらも連れてくればよかったな。」
慶・郭李・唐清・周・京ら5名を残し残りの兵らは都のはずれに待機させた。
「さずがに他国の国都に軍で来るわけにはいかないだろう。」
「そうだな。とりあえず待機の間訓練の命令はしといたぜ。京」
「周ありがとう。一応、今から話がどうころぶかわからないからね。」
「それがないことを願うよ」
5人は孫国の王宮へ行った。
城門で兵に説明をし、しばらくまったあとある男が彼らを出迎えた
「遠路はるばるご苦労様です。私がご案内します。孫国臣下・壁俊(へき
しゅん)と申します。では、こちらへ。」
5人は壁俊に案内され王宮の奥地へ通された。
明らかにとても豪華な部屋の装飾品。付き人数十人この部屋にはいる。
そして、真ん中に鎮座する王座のような椅子。
「ここって。」
京がそういうと、家来らしき男がいう
「皇后陛下、例の者たちが付きました。」
「卓(たく)。ご苦労。下がっておれ。」
そういって現れたのは全体にきらびやかな装飾品をまとった女性だった。
「貴殿らか、昇楼君が呼んだ者たちは」
その人こそ、孫国の皇后・玲氏(れいし)であった。
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