決戦

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決戦

それから、王派の人間たちは王も守るべく鉄壁の守りと策を講じ、 対する孫雄・流洞軍は王暗殺の為、最高の刺客を用意し約束の5日を 迎えようとしていた。 慶ら義勇軍は皇后の側につき王派にまざり暗殺部隊を迎え撃つため、 慶を含めた李郭・周ら4人が配置についた。 昇楼君の密書から始まった孫国遠征は思いもよらない内乱に巻き込まれる 形となったが、昇楼君が慶らに頼みたいことはこの暗殺阻止であることは 変わらないため慶らは昇楼君の意志を継いで力を貸すという総意を出したのだ そして、何事もなく夜を迎える、、、、 玉座の間では王派が憤っていた。 「くそ!反乱者達めが来るのであれば早く来いというのだ!じらされるのは    性に合わん!」 「そうだ!首謀者は流洞将軍というではないか!あいつは初めから嫌いだった  いい機会だ。捕まえて細切れにしてやる」 「ああ、そうだ!我らが団結して!!皆殺しにしてやろうぞ!」 「おお!」 「そうだ!やるぞ!」 いきり立つ王派の臣下たちを前に王・孫巖は静まり返っていた。 (何を考えているのだ!孫雄めが!恩を仇で返すことをしおって!  お前の母との約束でお前を立派に王に育て上げると約束したのだ!なのに  何故お前は暗殺集団に混ざってこの俺を殺そうとしているのだ!  私が何か間違ったことでもしていたのか!  この六カ国同盟も我が孫国をはじめ5国が轟亮軍に攻め込まれぬために  したことぞ。我が名家孫家が党首にならずしてこの同盟が組めたことか  何故分からんのだ!) 「、、、、孫巖様。大丈夫ですか?」 軍師・司馬斧(しばぶ)が言う。 「ああ、大丈夫だ。、、、お前たち任したぞ。」 「はは!」 一方、孫雄率いる流洞軍は 「いらっしゃいましたか。王子、、、」 「ああ。流洞将軍。感謝する。」 「いえ、これはあの孫国に否を突き付ける好機だと考えております。  その軍の党首に孫雄様が入っていただけるとは思ってもいない事でした」 「いや、私の力など。微力にすぎない。貴殿もわかっているだろうが、」 「、、、いえ。」 「遠慮するな。もう俺は王子でもない。お前たちと同等の将だ。  いや、流洞将軍には負けるな。」 「滅相もございません。」 「して、以外であった。お前もあのものと接点があったとはな。」 「いえ、それは違います。接点などないのですがあの方自らが来たのです」 「!!」 「あの者、自らか?」 「ええ。」 二人が宿営地で話していると馬の足音が聞こえる。 「しばらくぶりですね。孫雄様」 「来たか。馬蒙(ばもう)」 その馬蒙という男の背後にはおそらく5千騎はくだらない軍が控えていた。 「かつての天下を震え上がらせた各国の6人の大将軍。その一人である  馬蒙がこの反乱の本当の首謀者とはな。」 「意外ですか?」馬蒙が笑う。 「平和と正義の為戦う。馬家の男が反乱軍にしかも首謀者とはあまりにも似合  わないと思ってな」 「なるほど。そうですか。でも、孫雄様も同じではありませんか?」 「??」 「自分や国の民がこの6か国同盟により多大な被害を被るとわかっていて  強行している王・孫巖に愛想を尽かせたからこの軍に下ったのでは?  私も一緒ですよ。」 「、、、、、」 「民を案ずる王ならこの反乱軍など組織しなかった。だが、王子の前で悪いが  あの同盟の党首・孫巖はみずからの権威と手柄の為5各国の王に無理やり  同盟の印を押させたというではありませんか。  それを知って、民がそのために苦しむのはもう我慢なりません。  特に孫家においては周辺国は其の昔から苦しめられていたのですから  今までこのようなことが起きなかったことが奇跡と思うべきです。」 「ああ、いかにも。  この俺だって幼少期からあの王のやり方をずっとみてきた。  王子のみでありながら隠し子の子として民と共にくらし王の民の思いや  やり方は痛いほどわかっている。  あの男は民を軽んじている!義理の母である皇后は暖かい心にあふれた  お方ではあったがあの男は我が母と共に王都へ入ってからも形だけで  私はあいつの愛など感じたことなど一度もない!  だが、我が母の意思の為にも民の為に戦わなければならんのだ。  今や、周辺国はそれぞれ拡大し始めそのどれもがこの地に来てもおかしく  ない。あの王に任せてはおれんのだ。  ここで滅ぼし我らがこの領地の党首としてたたなければならんのだ。」 「孫雄様、、我らが志は同じです。  今や思いをお互い共有したのです。悲願を果たしましょう。」 「ああ、もちろんだ。この一戦を皮切りに我らが孫を含めた六カ国同盟軍  が地理尻になるまで攻めつずけてやるわ!!」 馬蒙軍・流洞軍・孫雄軍の兵らが孫雄の大声に呼応した。 この孫雄を自軍の本営まで連れてきて引き入れてからの先の事もなんと馬蒙の 頭には張り巡らされていたのだ。 今回の王暗殺計画もその一つであった。 その計画の説明を改めて将校らがしていると孫雄が立ち上がった。 「その暗殺部隊の長。この俺が引き受ける。」 「なりません。あなたは軍の中の将の一人として責務があります。もしなにか  あれば、、、」 「私では力不足とでも馬蒙殿。心配するな。王子になってからは流洞将軍に  ずっとけいこをつけてもらっていた。」 「馬蒙殿。心配はいりません。そこら辺の王派の者なら孫雄様は絶対負けん  でしょう。それに、これは王への心理攻撃にもなりますしな。」 「流洞将軍。わかっているじゃないか。そういうことだ。その後の事も  考えての事だ。安易ではない。」 「、、、、わかりました。では、お願いします。」 こうして、孫雄率いる暗殺部隊は王都へ向け出発した。 そして、深夜。 王宮では王派の臣下らが3つに分かれ配置についた。 左通路、中心通路、右通路と王宮につながる3方向に構え、 慶達は皇后に力を貸している大将軍・唐双と同じ右通路に配置されていた。 王派のみの中心通路の集団、李郭・周たちの左側の集団という具合だ。 慶は皇后の言葉を思い出していた。 (頼みます。孫雄を活かして捕らえてほしいのだ。あの者に陛下を殺させぬ  よう力を貸してくれ。客将・唐双よこの通りだ、、、) そして慶は考える。 (そうはいっても、3軍のうち一軍は王派のみ。それにあたれば孫雄を  捕まえる事はむずかしい。とにかく、俺らか李郭の二軍のどちらかに当たっ  ってくれればいいが、でも、その孫雄が全力でかかってきて捕らえれるかも  あやしい。でも、やるしかない。) この、とてもシビアな計画にかるく冷や汗をかいている慶。 「おい、大丈夫か?もう、焦ってんのか?」 「大丈夫です。成功させて見せます」 「、、、、心配するな。俺もいる。俺は正直こういうことには興味ないが  一応、俺も大将軍だからな。任された任務は果たす。失敗はない」 「ええ」 そして、慶達の別の通路に複数の人影が警備兵の背後に迫った 「ぐはっ!」 次の瞬間首を切られ倒れる数人の兵たち。 4人の刺客はその先を狙っている。 「予定通りだ。このまま計画通りいくぞ。」 刺客が進み、そのまま兵たちが次々と倒れ王の寝室についた。 「お前たちはそのまま見張っていろ。俺がやる。」 「はっ!」 そして、わきから小刀をもち寝室の王へ刃を刺そうした瞬間。布団の中から槍 状の物が刺客を襲う。 そして、その寝床から現れたのは李郭だった。 「残念だったな。」 「!!お前は!あの時の!!」 「ああ、客将の一人。李郭だ。」 「俺もいるぜ」 すると外で見張っている3人を気絶させた周の姿があった 「、、、」 「お前達、これで俺を追い詰めたつもりか?」 「そんなこと思っていないさ。とりあえず、正々堂々と勝負できる  とおもってるだけだ!」 李郭・周の一撃を剣で受け止める刺客 「だよな!これぐらいできないとな」 「くそ!こいつ俺らの攻撃を」 それを跳ね返し距離をとる刺客 「お前たちの方こそ、俺によける隙を与えんとはそこそこやるようだな。  まあ、これで俺の役目は果たされた」 「ああ、知ってるよ」 「!!」 「本当に王の命を殺るつもりなのは孫雄殿だろ?  それでお前は囮。あんたを使ってこんな計画を練ってるやつは相当な奴  だよな?」 「孫雄?知らんな。誰だそれは?」 「とぼけんなよ。孫国の連中は知らないけど。  こっちはある要人からこの件託されてんだ!」 「ああ、あの昇楼君がお前達を呼んだのか。余計なことを、、、」 すると再び、槍が刺客を襲う。 「テメ―何かが馬鹿にすんじゃねーよ。刺客なんか隠れてコソコソ人殺す  だけじゃねーか!武将ってのはお前たちが思うほど単純なもんじゃねえぞ」 「はは、それごときで気分を害したか。だが、こちらも聞き付てならんな。  刺客こそ。影で政治を操る道具の一つよ。  どれだけ戦場で数百、数千の者を切ろうがここ(首)を掻っ切れば普通の  の人間と同じなんだよ。  俺たちはその玄人だ。だが、証明してやろう。お前(武将)と俺(刺客)  どっちがつよいかを」 「ああ」 二人は戦い始めた。 そして、慶、唐双たちはある報告を受けすぐに玉座へ向かった。 「くそ!とにかく急ぐぞ。」 「はい」 もう一方の集団が刺客に抜かれたという報告だった。 といえど、守っていたのはそれなりの臣下達。 一瞬にして抜けれたという報告を受けた瞬間二人はある男が思い浮かんでいた 「孫雄だ!」 そして、孫雄はまさに玉座へ向かおうとしているのだ。 玉座をあけると近衛兵を倒し、孫巖の前に立ちふさがる孫雄の姿があった 「孫雄!お前というやつは!」 「、、、、やっとこの時がきた、、、、母さんが死んでからずっとこの時を  狙っていた。分かるか!王・孫巖!  俺達、親子があんたに抱いている恨みの強さを!!」 「、、、、孫雄」 その場が静まり返った。 「王に手を出させんぞ!」 近衛兵が再び孫雄を襲うも瞬殺される。 「邪魔をするな。雑魚ども。お前達がこの国のかじ取りをしていること自体が  気に入らないだよ。  そして、それによって今どれだけの民が困窮していると思っているのだ  ’6カ国同盟’?    なんだそれは!!それのせいで今この周辺地域は民は危険に立たされている    だぞ。わかっているのか!」 「、、、、、」 「俺だって、母が死んでからしばらくはこの国を繁栄する道を見ていた一人だ  しかし、この王の姿勢を見ていてこの国は民を犠牲にし自分たちの体裁を  保つため民を犠牲にする奴らだとわかった。  そんな奴らにはこの国を任せるわけにはいかない。  俺がここで王を殺し、国ごと終わらせてやる!!」 そのまま、孫雄は王を襲おうとする。 すぐに近衛兵が取り押さえようとするもかなわない そこへ慶が突然立ちはだかり孫雄の剣を止め、唐双が一撃を狙い孫雄に 距離をとらせる。 「客将らか、どけ!」 「どかない!  目を覚ませ!孫雄!こんなんであんたの母さんは喜ばないぞ!」 「うるさい。お前に何がわかる!  母さんはこれを望んでいるはずだ。  利益だけをもとめ、家族を捨て、民を困窮させるだけの最低な王だぞ。  こんな王とわかっていたはずだ。死んだあの時に!」 「お前の母さんはお前と王に国の未来を託し自分が犠牲になったとは思わない  のか!」 「!!」 「あの時はそうしなければ全員死んでいたとは考えないのか!  王がたとえどんな人であってもあんただけはあんたの母親の意志を継いで  この国でいい国造りをすればいいだけだ。  王子であるあんたならいつかは王になる。  苦痛を受けて生き抜いた人間はその分、強く・優しい人間になれる  あんたがそんな王になればいいだけの話だろ。」 「、、、、、もう、無理だ。  時が遅すぎだ。  俺はこの国をつぶす!」 孫雄はその剣を跳ね返した。 「おい、客将。俺がここにいる意味が分かるか?  この王を暗殺するためなら、そうそうに刺客で型をつけている。  俺がここにいるのは、孫国王子・孫雄としての決別、そして、  この6カ国同盟軍・そして孫国に宣戦布告するためだ!」 「宣戦布告?」 「急報!!国門付近に数万の敵影を確認。大群でここへ向かっております。」 「どういうことだ」 「だからいってるだろう。宣戦布告だよ。  あんたをいや、国を殺すってね。  その中の将である孫雄が王に謁見にきてやっただけだ」 「孫雄、、、お主というやつは、、、、」 「そういうことだ。さあ、どうする?ここで殺すか?  そんなことすれば精鋭部隊がすぐに攻め入るぞ」 兵らが溜まどっている 「いかせてやれ、、、、皆手を出すことは許さんぞ」 「良い心がけだ。孫巖。お前にも人の心があるのだな。  褒めてやる。では、」 孫雄は大将軍・唐双を見て 「戦場でまっているぞ」 こうして、孫雄は消えた。 誰も手を出すことなく、王命により孫雄は無傷で国を離れ大群と共にさって いった。 そして、王の命を案じ全員が玉座へ戻ってきた。 「無事でしたか王。」 「よかった。よかった。」 「、、、、ワシは疲れた。新寝室で休む。誰も起こすな」 こうして、約束の日は終わった。 そして、その数日後。 孫国の者たちはさらなる試練にさらされることになる。
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