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なぜ、下着などで行うか。
それは嫌なことを演じる力を得るためだ。
誰しもが、人前で肌を晒すことに躊躇う。
そこを乗り越えた“ふり”をするのだ。
今回のお客様は、とある大企業の社長だった。
「春奈くん。」
「っ...!急に名前で呼ぶんじゃないわよっ!
照れるじゃない...」
「春奈くん、君は演技が上手だ。
だがね、表情はダメだ。顔色まで意識しなくては。照れているなら顔を紅潮させてみなさい。
...そうそう。それでセリフを。」
「照れるじゃない...///」
「うん、よくなったよ。
じゃあ今日はこれで。」
社長が席をたち、ドアを開ける。
「また来なさいよっ...!
アンタが来ないと寂しいんだから...。」
「うん、合格。」
チュ、とキスをすると、春奈は顔を更に紅潮させた。
「突然なによっ...!」
「うん、これくらいなら演技も追い付くね。
じゃあっ...!」
唇と唇が触れあう。
社長の舌が絡み付く。生暖かい唾液が入ってくる。
「ほら...いやらしい音が漏れてるよ...?」
「ん...」
春奈はさすがに拒絶の色を浮かべた。
それを見て、唇が離れた。
「ふぅ、ごめんね。手荒な真似して。
こうしたときにも演技できるように。」
「はい。」
ここはお客様に癒しを与えるレストラン。
お客様が料理をどのように頂こうと文句は言わない。
それが掟だった。
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