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ため息をつきつつまた彼かと確認した。
「え?」
ラインではなく、メールの方だった。
「あまり出かけないほうがいいよ」
誰?差出人は『STAY HOME』
何の冗談なの?これ。悪戯?この時期に便乗した愉快犯だろうか。
速攻でそのアドレスを拒否した。
それと同時に電話がかかってきた。ひぃ、何?
知らない電話番号だった。出るべきかどうか悩んだが、もしかして派遣先だったらと思い電話に出た。
「アドレス、拒否したって無駄だから」
とてつもなく暗く低い声でナツにそう告げた。ナツは慌てて電話を切った。
誰?こんな悪戯をするのは。どうして電話番号までバレてるの?
ナツは恐怖を感じた。もちろんこの番号も着信拒否。
コンビニから帰ってくると、ドアポストに何か白い紙が挟まっているのに気付き、ナツはそれをつまみ出して開いてみた。
「家から出るなって言っただろう?」
ナツは手が震えて、その紙を落とした。出かけるときにはこんなものはなかった。誰?
ナツは怖くなり、思わず携帯を出して彼に電話した。仕事中だとわかっては居たが、怖くて彼にどうにかして欲しかった。案の定、電話に彼は出なかった。
だが、ほんの2~3分後に着信があり、彼の番号だと確認すると慌ててその電話に出た。
「どうしたの?ナツ」
「ごめん、仕事中だってわかってたんだけど」
「大丈夫だよ。それより、どした?何かあった?」
彼の優しい声に思わず涙が出た。
「泣いてるの?ナツ?大丈夫か?」
「マキくん、私、怖い・・・」
「何があったの?」
「変な電話があったり、手紙が・・・」
うまく説明できない。
「なんかあったんだな?すぐ行く!」
「で、でも・・・仕事が・・・」
「そんなの何とでもなるよ。仕事より、俺はナツが大事なんだ」
ナツはその言葉に感激しつつも、申し訳ない気持ちになった。
こんなに思ってくれている彼を疎ましいと思っていたのだ。
彼と近くのファミレスで待ち合わせをした。
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