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アドレスを拒否しても、次々と違うアドレスからメールが入ったり、拒否しても違う電話番号から電話がかかったりして、イタチごっこだった。
「きみは家にいなければならないんだよ?仕事にも行っちゃだめ。他の男と会っちゃだめだからね?僕だけのものだよ」
警察にも相談したが、パトロールを強化する程度のことしかしてくれないらしい。何かあったらすぐに電話してくださいと携帯電話の番号を渡されたが、何かあってからでは遅いのではないか。
「ねえ、ナツ、大丈夫?」
マキオからの久しぶりの電話に、思わずナツは号泣した。
やっぱり私にはマキくんが必要。
ナツはまたマキオの元に戻り、マキオと結婚することにした。
結婚生活が始まってしばらくすると、マキオはナツに仕事を辞めるように言ってきた。
「もうナツが働く理由なんてないでしょ?派遣だし」
その言葉にナツは苛立った。派遣だって立派な仕事だし、ナツは今の仕事が意外と好きだし遣り甲斐を感じていたのだ。ナツとマキオは口論になった。
「もういい、ナツは俺のことなんてどうでもいいんだろ?」
そう言うと、マキオは寝室で不貞寝した。
マキオがあんなに理解が無いとは思わなかった。女は家に居て家事さえしてればいいみたいな、古臭い考えの男だとは思ってもみなかった。その時、マキオが脱ぎ捨てたジャケットのポケットで携帯が震えた。ナツは、それを取り出すと、発信は会社の同僚からのようだった。しばらく振動していたそれは、動きを止めた。たぶん、諦めたのだろう。ジャケットとバッグを片付けようとして持ち上げた瞬間に、ファスナーが開いていたのか、何かが転がり落ちた。確認すると、それは携帯電話だった。
「なんで二台持ってるの?」
浮気用?まさかね。一台は会社の支給品か何かかな?
何気なく触ると、メッセージが入った。どうやらDMらしい。
そのDMを何気なく開くと、アドレスに偶然手が当たってしまった。
「なにこれ・・・」
そこには、以前、ナツに送られて来たメッセージがあった。
「STAY HOME」
やはり、ストーカーは自作自演で、マキオが送ったものだったんだ。
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